2017年10月19日木曜日

月の地下大空洞発見!

2017年10月18日、JAXA・NHK・朝日新聞などのメディアにて月面の地下にて大空洞が発見されたと報じられました。
国内のみならず、世界的大発見として宇宙開発史に残る一大事件と目されています。
(筆者:SF好きの平野)


JAXA記事
http://www.isas.jaxa.jp/topics/001156.html
NHK記事
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171018/k10011181421000.html
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASKBK7GP0KBKUBQU01N.html

今回の大空洞は2007年に打ち上げられ、2009年に観測終了した日本の月周回探査衛星「かぐや」のデータを解析した結果発見されたものです。
「かぐや」が役目を終えてから既に10年近くが経過していますが、その膨大な観測データは今なお分析の対象となっていました。


電波レーダー、月レーダサウンダーと呼ばれる「かぐや」に搭載された装置によって観測された地下空間は、直径50kmほどのチューブ状の構造をしているとされています。


何故このような細長い構造が生まれたかというと、かつて月の誕生直後、火山活動が活発だった時代、火山から流れ出したマグマによるものだとされています。
溶岩は大気あるいは真空に晒され、急激に表面温度を冷却されて固まりますが、この結果として表面だけが管のように固形化し内部では高温のマグマが流動し続けるという状態が生まれます。

やがて内部のマグマがすべて流出しきった場合、後には管のような形状の溶岩チューブが残されます。これによって生まれる溶岩チューブ=溶岩洞は、地球上でも一般的に確認される現象、地形です。

この溶岩チューブがなぜ世界的発見と呼べるかと言うと、それはこの地形的構造が非常に『月面基地』の建設に有益だからです。

基本的に重力が小さく、そのため大気の薄い月では隕石、放射線、温度差などの有害な環境変化が抑制されません。定期的に降り注ぐ隕石は月面を穴だらけにし、降り注ぐ太陽由来、系外宇宙由来の放射線は人体に害を及ぼし、一定に保たれることのない表面温度は昼は110℃、夜は-170℃という200℃もの激しい温度差をもたらします。

これを防ぐには宇宙船、宇宙服などの外的環境と隔離するための設備が必要ですが、「居住」と呼べるほどの超長期滞在を想定した基地の建設には、非常に莫大なコストがかかります。建築資材や人員の運搬が困難な月面では、大規模な土木工事は地球上の何十倍ものコストとリスクを要求されるからです。

しかしこれが、天然の地下空洞を元にして建設できるとなればどうでしょう。
50kmもの奥行きを持つ地下空洞ともなれば、形状が多少細長くとも小さな都市ほどのスケールが想定できます。50mから100mといわれる分厚い岩盤が盾となり、微隕石、放射線を防ぎ、温度差を緩和します。また、補強工事をしつつ人工的に気密率を高めることで、より居住環境を整えることが可能になるでしょう。

JAXA宇宙科学研究所の春山純一助教は「過酷な月表面の環境を人間が生き抜くのは厳しいと考えていたが、地下の空洞の存在はアポロ計画以来、行けていない月に改めて人間が進んでいける可能性を示している」と話しています。

また基地建設の他にも、より早期に行える定点観測などの無人研究地としても、地下空洞は優秀な性質を持っています。

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ロバート・A・ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」、J・P・ホーガンの「星を継ぐもの」、アーサー・C・クラークの「渇きの海」、「東方儚月抄」、「紺珠伝」、「Fate/Extra」、「CCC」、「FF4」の月の地下渓谷、「FF9」の月の涙、そして小川一水の「第六大陸」。

これらの他にもいくらでも月を舞台にした創作物は数多く存在し、さらには月に関わりのある創作物はそれこそ星の数ほど存在してきました。
月に憧れ、月に焦がれ、月面という場所を愛した人々は数知れません。

しかし東西冷戦の終結以降、あるいはアポロ計画の末期には既に、人類の宇宙開発への欲求は満たされ、かつて願われた月面基地、月面都市の未来は長らく遠のいていました。

それが今日。
長く空想の世界へと追いやられてきた『月面開発』が、現実の世界へと引き上げられるかもしれないというニュースが訪れたのです。

私もまた月と月開発の未来を願う者の一人として、喜ばずにはいられませんでした。
月万歳。月にハレルヤ。
ツキましては、年末のハヤカワSF短編賞に月開発テーマの短編を送る予定です。

これを読んだ方もこれを期に、月面開発を少しでも応援していただければ幸いです。

ああ、生きててよかった!








1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

月面偵察合宿が組まれることになるのも近いのかもしれないですね