年の始まりというものは憑き物が落ちたような思いがいたしまして、清浄というものは何も見目に限ったものではないと改める所存でございます。
何とはなしにぶらぶらと散策しておりますと、背面越しに木漏れ日が染みわたりまして、あぁ今年は暖冬であるな、とつくづく実感いたします。新春や迎春という言葉にもありますように、一月から三月を春と認識していた時代が日本にはございました。巷でよく耳にいたします温暖化なるものの影響でしょうか、春という期間は年々短くなっていくように思われます。どうやら四季というものは、その期間や概念が移ろいやすいものである気がいたします。
私の中で春を告げる象徴の一つにオオイヌノフグリという植物がございます。その花弁は冬晴れよりも紫がかった紺桔梗の色をしております。長きにわたる夜寒を過ごし、小指の爪ほどの花が寄せ集まって咲いているのです。どうも私は目につきやすい桜ではなく、この足元の小さな植物に思いを馳せてしまうのです。
それもそのはず、オオイヌノフグリはその実が「犬の金〇に似ているから」という理由で名づけられたからだ。フグリとは〇玉のことである。犬のフグリ(金〇)。思いついても名前として付けるだろうか。金〇ですよ、〇玉。
さて、日本の法律には過度な繁殖を防止するために、飼い主によるペットの去勢が努力義務化されている。去勢率は約6割。つまり、オオイヌノフグリの元ネタを見る機会は減少しているのだ。
春には「色情」という意味も含まれている。犬は元ネタのタネを取られ、その春は短い一方、花は実をつけ子孫を残す。私はそこに言いようもない情を抱いてしまうのだ。
私はきっと、犬を見ても春を思い出す。そんな気がする――。
【参考文献】
・岡山理科大学旧植物生態研究室(波田研)HP(https://www1.ous.ac.jp/garden/hada/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/sympetalae/scrophulariaceae/ooinunofuguri/ooinunofuguri.htm)2026.1.12閲覧
・あなただけにできること—動物の繁殖制限—(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/hanshoku/full.pdf)2026.1.12閲覧
・令和6年全国犬猫飼育実態調査(https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/8.pdf)2026.1.12閲覧

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